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高橋美登里礼法きもの学院

ホテルでの着物作法研修

2017.01.13

今日は、都内ホテルの和食レストランで着物で接客するスタッフさん向けの作法研修をさせていただきました。

 

こちらのホテルでは、毎年、春に、きもの研修もさせていただいています。

年度始めに新入社員の配属先が決定します。大学や専門学校を卒業してすぐに就職をした新入社員ですから、和食レストランに配属されてもススっときものを着られるかたはほとんどいません。なので、まずはユニホームであるきものが着られるようにと、きもの研修をします。

新入社員にとって、本来のお仕事の前段階であるユニホーム(着物)を着るところから大変なのですね。

 

だから、4月に入社してから今日まで、慣れないきものを着て接客のお仕事をしてきた訳ですが、それに加えて和室では、日本文化特有の所作があり、これもマスターしなければお客様にご満足いただける接客はできません。もちろん、諸先輩方から和室での立ち居振る舞いを教わってはいるのですが、お仕事の合間を縫っての指導には限界があります。

最近では、和室がないご家庭で育ったかたも多いので、和室での所作がわからないのも致し方ないことかもしれませんね。

 

という事で今回の作法研修となりました。

作法研修は今日を含めて2日間。

今日は、前半は「接客サービスの基本」として心構えや接客基本用語についてのお話をさせていただきました。たとえば基本中の基本「いらっしゃいませ」という言葉の意味を考えてみると、実に深い。「いらっしゃいませ」は、来てくださったお客様に感謝の気持ちをもって明るく迎え入れる言葉ですが、その他に、この言葉を発する事によって「店員さんは私に気付いてくれた」とお客様に安心感を与え、仮にお店が立て込んでいても「私に気付いてくれているのだから、ここで待っていれば良い」と思ってくださいます。また、「いらしゃいませ」は、お客様が見えない場所で働くスタッフに、お客様がいらした事を伝える大事な合図にもなります。

まずは「いらっしゃいませ」という言葉の意味を理解し、いらしてくださったお客様に感謝の心を持ち、その思いをしっかりとお客様に届けるために基本的な美しい所作の練習をしました。

 

洋服と着物では所作が違い、同じ着物でも、草履を履いて接客するフロアと和室では、また所作が違ってきます。歩く歩幅にしても洋服よりは着物の方が歩幅狭く、着物の場合でもフロアより和室の方がより歩幅狭く。

 

今日の後半は、和室での歩き方、立ち方、座り方などをお稽古しました。特に和室では、お客様は座っているのですから、所作の荒さや大きな動きは目につきやすいものです。いかにブレが少なくスマートに動けるかが大切になってくるのですが、これがなかなか難しい。人の自然な動きは均一のリズムではなく緩急があるのですね。けれどはじめのうちは、「次はどう動くんだっけ?」とか「この時はどこに力を入れるんだっけ?」とか考える事が多くて、1つ1つの動作が区切られて機械的な動きになってしまいます。考えながら動いている間は、「一生懸命感」はあるのですが「美しさ」はどうでしょうか?まして、動くことに囚われて、そこに本来お客様に届けたい「思い」を入れることはできません。意識を持っての繰り返しの練習が大切です。

 

次回は、フロアでの動きと、実際に使用しているお盆や器をお借りして、美しい持ち方、お客様への出し方などをする予定です。