2015.03.21
「江戸ッ娘 Kawaiiの系譜」を見に行った浮世絵専門美術館「太田記念美術館」の地下には、手ぬぐい専門店「かまわぬ」さんが入っていました。
「へのぬ」ではないですよ〜。江戸時代の判じ絵、鎌と輪とぬで「構わぬ」。文字遊びですね。「何もお構いしませんが、お気軽にお立ち寄りください」という意味を込めてこの店名にしたのだそうです。
が、元々の「かまわぬ」の意味は、ちょっと違うようです。江戸時代の元禄頃、町奴と呼ばれる、町人出身の侠客?渡世人?博徒?(ん〜、健さんや文太さんが出ていた任侠映画が好きな人じゃないと分からない言葉かも…)的な人達が「「お構いなしに自由に行くぜ!」とばかりにロゴ的にこの「鎌輪ぬ」を使って派手な衣装に身を包み、徒党を組んで町中を横行していたみたいです。
のちに歌舞伎役者の七代目市川団十郎が、舞台「累(かさね)」の与右衛門役でこの柄を着て大人気になり、以来、市川家といえば「鎌輪ぬ」が定着したみたいです。鎌という物騒な道具が、荒事を得意とする市川家にピッタリな感じがしますし、「ぬ」という字が、市川家得意の「にらみ」に見えてきます。
累とは、他から受ける災い、巻き添えという意味。この「累(かさね)」どんなお芝居なのかというと…恐ろしい内容でした。
醜い女房「累」を、夫「与右衛門」が殺害し、殺された累の怨念は、与右衛門だけではなく一族にまで及んだ…
…悪い事は、しちゃいけないです。
ちなみに累役は三代目尾上菊五郎で、こちらは斧と琴と菊で「よきこときく」。
原宿駅で降りたのは20年ぶりくらい。私くらいのお年頃(!?)で、しかも着物で来るにはちょっぴり気が引ける街。せっかく来たのだからと、手ぬぐい専門店「かまわぬ」さんで、手ぬぐいを1本買って帰りました。生成り色の地に何色かでオジギソウが描かれていて可愛い♪
100均などで手ぬぐいとして売られているものはもちろん、和雑貨屋さんで扱っている手ぬぐいも、本来の手ぬぐいの染め方(注染)ではなくプリント(捺染)の場合が多いのですが、「かまわぬ」さんは、もちろん注染。布に型紙を置き、上から染料を注ぎ通してしまいます。ですから、布の裏もしっかり染められていて、両表に染まります。
対してプリントは、はっきりくっきり裏は裏!
そして、本来の手ぬぐいは、手ぬぐいの幅の長い布を染めて、手ぬぐいサイズに切って完成。両サイドや切り口を縫う事はしません。
家に帰って、高校2年生の息子に見せたところ「かっこいい! 手ぬぐいの事は全然わからないけど、良い物ってことはド素人のオレでもわかる」と言ってました。
近頃は、ハンカチの代わりに手ぬぐいを持つ、和もの大好き女子が増えていますが、「かまわぬ」さんでは、昔ながらの和柄手ぬぐいだけではなく、今っぽいチェック柄やディズニーキャラクター柄などもありましたよ。
手ぬぐいは、洗えば洗うほど「味が出る」と言うのでしょうか、ちょっと色あせて良い感じになります。ヴィンテージのジーンズに似合うかも。…と言いつつ、この手ぬぐい、使わずにしまっておくんだろうなぁ…貧乏性。だって、この柄、すごく気に入っているんですもの、汚したくない…あ、やっぱり貧乏性。
この手ぬぐいの染め方は、本来の浴衣の染め方でもあります。帯や下駄などとセットで売られている吊しの浴衣で、この染め方をしている物を見た事がありません。みんなプリントです。旅館などで出てくる浴衣も、注染は見かけなくなりましたね。手間ひまのかかる注染の浴衣は、それなりのお値段になってしまいますから。
店内には私1人しかいなかったので「何もお構いしませんが…」どころか、様々な商品を詳しく説明していただき、カラフルな手ぬぐいを見ているだけでも楽しかったです。是非、行ってみてください♪