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浮世絵に見る江戸娘きもの着こなし術

2015.03.20

原宿にある浮世絵専門美術館「太田記念美術館」で3月26日まで開催されてる「江戸ッ娘 Kawaiiの系譜」に行ってきました。

スマホアプリ「チラシミュージアム」でこの催しを知ったのですが、ネーミングと、このチラシ↓に驚き。

浮世絵に見る江戸娘きもの着こなし術

 

kawaiiという言葉は、もはや世界の共通語になっている感があります。

浮世絵の美人画は、どちらかと言うと艶っぽい大人なイメージがありますが、原宿を闊歩する若い女の子のように、江戸時代にもファッションに敏感なギャルがいたはず。そんな江戸ッ娘をクローズアップしたこの催しのチラシ、ポップで可愛らしく、きゃりーぱみゅぱみゅっぽい。外国人があふれ、長蛇の列の人気店が並ぶこの街で開催される事にも、意味がありそうな気がします。

 

原宿駅から歩いて5分ほどのところにある、小さな美術館。受付横には返金式のコインロッカーがあるのですが、既に満杯で使えませんでした。というのは、その日は、学芸員によるスライドトークの日。もちろん私もそれに参加すべく行ったのですが、その日は夜間のお稽古があったので荷物がいっぱい。

 

「あ!コインロッカーがある♪⤴️」…「あ!全部使用中で使えない⤵️」

 

重い荷物を持ったまま視聴覚室へ。始まる5分前に入室したのですが、すでに満席に近い状態で、始まる頃には何人か立ち見のかたもいらっしゃいました。

 

さて、スライドトーク。大変おもしろかったです!

今回は「江戸ッ娘」というテーマで、身分の高いお姫様から吉原の花魁まで、浮世絵に描かれている様々な若い女性を見ていきました。

浮世絵に描かれている若い女性たち、ほとんどが振袖を着ていますが、実際には、日常でも振袖を着ていたのは身分の高いお姫様や、そこにお仕えする若い女性たちぐらいで、町の娘さんは、たとえ豪商の娘でも、おめでたい日しか振袖は着なかったそうです。けれど、歌舞伎では、若い女性を演じる時“若さ”を表現するために身分に関わらず振袖を着ていたので、浮世絵もその影響を受けたのでしょう、というお話でした。

 

そして足袋。浮世絵には真冬の雪の日なのに、素足に下駄の女性が多く描かれています。想像しただけで足元が寒くなってきます。当時は素足がカッコイイと思われていたので、実際に足袋を履かないやせ我慢女子が多かった?それとも足袋は贅沢品だから履けない?あるいは本当は履いていたのだけど、カッコイイから素足として描いた?

この辺は、謎だそうですよ。

 

当時は、ヘアスタイルや髪飾り、お化粧などで未婚、既婚、身分、職業などが分かりました。

例えば髪飾り。トップクラスの売れっ子花魁は、これでもか、というくらいたくさんの髪飾りをつけているのですぐに花魁とわかりますが、そんな花魁でもプライベートの時は髪飾り控えめでしょう。控えめでも、使用する髪飾りは同じ物。花魁が使用する笄(こうがい・たぼの中に突き刺して左右に出す髪飾り)は、とても長かったそうです。考えてみればそうすよね、あれだけたくさんの髪飾りをつけるのですから、長くないとバランスが悪いですね。

 

お化粧も未婚、既婚で違いました。既婚女性は、お歯黒をしたり眉を剃ったり。若い女性の間では、下唇だけに玉虫色の口紅をさすのが流行したのだとか。なので、時代劇などで史実に基づいて再現すると視聴率が取れないでしょうね〜。何より、出演してくれる女優さんがいなそう。

 

浮世絵を鑑賞する時、これらの背景を知っていると、より興味深く観る事が出来てよかったです。だって、浮世絵に登場する女性たちは、皆、似たような顔をしているもの。西洋の美人画は、しっかりとお顔の特徴をとらえて描かれていますよね。これって「美人」の捉え方の違いなのではないでしょうか? 西洋人は、その人自体が持つ、たとえば目の大きさだったり口の形だったりに美しさを見いだすのに対して、日本人は、見目形の美しさではなく、仕草やその人が持つ美意識に美しさを感じるのではないでしょうか? だから、西洋の美人画は、真っ正面から描いているものが多いのに、日本画には真っ正面の絵がほとんどない。有名な見返り美人も後ろ姿に横顔。あの絵に描かれている美人さんも、もともとその人が持っていて消えてなくならない具体的なものではなく、センスや一瞬の仕草が美人なのでしょう。

 

話が逸れてしまいましたね。

背景から読み取れる情報を知った上で着物を見ていくと、世界がどんどん広がっていきます。それを書いていくとブログが長〜くなってしまうので、是非、太田記念美術館に足を運んで見て来てください♪