2015.02.09
一口に「化繊のきもの」といってもピンからキリまで。一目見て化繊とわかる物もあれば、触ってもよく分からない物も。でも、着てみるとすぐにわかります。正絹(シルク)の着物は身体に吸い付くように感じますが、化繊の着物は身体から離れていく感覚があります。一目で化繊と分かるような質の良くない化繊はなおさらです。
習いはじめの生徒さんは、お稽古用に吊し(仕立て上がり)の化繊のきものを買ったりするのですが、私は吊るしの化繊きもので質の良い物に出会った事がありません。なので本当は初心者にとっては難しい着にくい着物と言えます。
でも、化繊のきものは家庭用洗濯機で洗えるので気楽に着られて重宝します。雨の日や立食パーティーなど、汚れそうな日には化繊のきもので、と着分けると良いですね。
さて、コーディネイト。
きもの=七宝柄の地紋が入った地味目の紫の色無地、化繊です。
帯=波模様の名古屋帯、正絹です。
「菰(こも…むしろの意)を着ても錦を巻け」という諺があります。ボロボロのむしろのような着物でも、良い帯を締めなさい、という意味です。ここで言う「良い帯」とは、格ではなく質の事です。きものに対して帯が見える割合はかなり少ないですが、身体の真ん中に巻き、着物を分断する帯は大きな存在感を持って目に飛び込んできます。着物の質が下でも上の帯を締めると、きものも帯も上に見えます。反対に着物が上でも帯が下だと、両方とも下に見えます。つまり、実は着物姿の鍵を握るのは帯だったのですね。
帯締め=グレーと紫の染め分け。
帯揚げ=紫地と、白地に紫のドット柄が交互に入ったもの。
半衿=スッキリと白に。
きものや帯に入っている色を、帯締め、帯揚げに取り入れた王道のコーディネイト。今回は個性よりも上品さを。
※「こんな着物コーディネイト」シリーズの過去記事はこちら